こころの不調と漢方
こんにちは。
前回は「漢方薬ってなに?」というお話をしました。
今回は、こころの不調——たとえば「眠れない」「気分が落ちこむ」「やる気が出ない」といったときに、漢方がどんなふうに役立つのかを見ていきましょう。
こころとからだはつながっている?
こころの不調と聞くと、「うつ」「不安」「ストレス」などを思い浮かべるかもしれません。
でも漢方では、心と体はひとつのものと考えます。
たとえば、
緊張するとお腹が痛くなる
ストレスで眠れなくなる
悩みごとが続くと肩がこる
こうした経験は、心と体がつながっている となんとなく思われた方も多いと思います。
漢方では、この「つながりの乱れ」を整えることで、心の調子も回復させていきます。
「気」「血」「水」のバランス
漢方では、人の体を流れる3つの要素で状態を考えます。このあたりで少し胡散臭いと思う人が多くなると思います。奥が深すぎて?実は私もまだ理解できないことが多いです。皆様は今回は何となくこんな考え方もあるんだ程度でよいです。
| 要素 | 意味 | 乱れたときのサイン |
| 気(き) | 生命エネルギー | イライラ、ため息が多い、動悸 |
| 血(けつ) | 栄養・血流 | 顔色が悪い、めまい、月経トラブル |
| 水(すい) | 体の水分 | むくみ、頭重感、めまい |
このバランスが崩れると、気分の落ち込みや不眠といった「こころの不調」として現れると考えられています。
こころの不調によく使われる漢方
漢方では、原因や体質に合わせて処方が変わります。
同じ「不眠」でも、以下のように違う薬が選ばれることがあります。ほんの少しだけ例をあげます。
加味帰脾湯(かみきひとう)
ストレスや心配ごとが多く、眠れない・動悸がするタイプ。気分の落ち込みにもよく使われます。
内服当日から数日と比較的早く効果が出ます。不眠に対しては就寝前だけの内服で効くことが多いで す。
抑肝散(よくかんさん)
イライラ・怒りっぽい・眠りが浅い人に。子どもや高齢者にも使われることがあります。
内服1時間~数日で効果が出ます 処方患者様の6~7割と比較的多くの方に効果が期待できます
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
不安が強く、胸がドキドキする・夜に考えごとが止まらないタイプ。
寝る前にくよくよとした考え事や動悸には即効性(10分~1時間)を感じる方もいれば数日かかる人もいます。効果は5割程度で効く効かないがはっきり分かれる漢方です。睡眠の質の改善には2~3週内服しないとわからないことが多いです。
こうした薬は、単に「眠れるようにする」だけでなく、心身全体を落ち着かせるように働きます。
こころの漢方薬は早く効くタイプが多いので驚かれたと思います。お話がそれましたがまたの機会に個別の漢方薬の特徴(どのくらいの量をいつ飲むのか、何日で今の自分にあう漢方か合わない漢方薬か考えるかなど)上手な漢方薬との付き合い方をご紹介します。
こんなときに、漢方の視点を思い出して
病院で「異常なし」と言われたのに、なんだかつらい
薬を飲んでいるけど、もう少し自然に整えたい
季節の変わり目やストレスで、体調も気分も揺れやすい
そんなときこそ、漢方の出番かもしれません。

次回予告
次回は、「西洋薬と漢方の上手な併用」についてお話しします。
眠剤や抗不安薬と漢方をどう組み合わせるのか、注意点もまじえてご紹介します。