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漢方と出会ったお話③

話を戻します。
帰国して約1ヶ月が経った冬の日、私は 悪寒と喉の痛み を覚えました。典型的な初期の感冒症状です。

「これはチャンスだ」と思い、薬局で葛根湯のエキス剤を購入し、指示どおり毎食前に服用しました。
しかし――熱は下がらず、効いている実感も全くない。
3〜4日経っても症状は改善せず、むしろ悪化していきました。結局外来を受診し、処方された解熱剤と鎮痛剤は 驚くほどよく効きました。

そこで、疑問が次々に浮かんできました。

  • やはり本場の漢方でなければ効かないのか?
  • エキス剤が駄目なのか?
  • 香港では熱湯に近い温度で飲んでいたが、飲み方の問題なのか?

論文も調べましたが、出てくるのは数例規模の 症例報告 がほとんど。
人数の多い研究も、よく読むと 対照群のバラツキ評価尺度の曖昧さ が気になり、調べるのをやめました。

あれほどEBMに距離を置いていたのに、いざ自分のこととなると 数字やデータを追いかけている自分に呆れてしまいました。

「これはもう、自分で経験を積むしかない」
そう決め、漢方と向き合う姿勢が少しずつ固まっていきました。

そして2011年、医学書の専門店で一冊の本に出会います。
その本には、私が抱いていた疑問が 実践的かつ経験ベース で見事に整理されていました。

麻黄湯や葛根湯は“お湯に溶かし、汗が出るところまで勝負する。
その日のうちに決着をつける。
そう書かれており、深く腑に落ちました。

しかも著者は漢方専門医ではなく 外科医・新見正則先生。この点にも強く惹かれました。

  • 『西洋医がすすめる漢方』 新見正則 著(新潮選書)
  • 『フローチャート 漢方薬治療』
  • 『フローチャート 漢方薬治療2』(新興医学出版社)

これらの本は、その後も私の臨床を支え続け、今でも 診察室に常に置いている愛読書 です。

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