今回は、PMSに効く漢方の「合わせ技」について書きます。
加味逍遙散は罪深い?
PMSで悩まれて当院を受診された患者さんに漢方を提案すると、一定数の方から
「漢方は試したことがあるけれど、効かなかったからいいです」
と断られることがあります。
私はその瞬間、ほぼ反射的にこう返します。
「加味逍遙散でしょ?」
すると、ほぼ全員が「はい、そうです」と答えます。
しかも、
加味逍遙散単剤、毎食前、それを数か月単位。
この条件で飲まれている方がほとんどです。
合わない漢方を毎食前に何か月も飲んでいたら、「もう漢方はいいや」となる気持ちはとてもよく分かります。
当院のPMS処方
結論から言います。
加味逍遙散+抑肝散+加味帰脾湯
この3剤の合わせ技です。
飲み方はとてもシンプルで、
それぞれ1包ずつを1日1回、まとめて服用してもらいます。
なぜこの処方にたどり着いたのか
3剤併用のため、生薬レベルで解説すると話が複雑になりすぎます。
ここでは、この処方に至った経緯を簡単にお話しします。
今から10年以上前、ひたすら抑肝散を処方していた時期がありました。
当時は、PMSの方には加味逍遙散を避け(すでに内服されていた方がほとんどだった為です)
加味帰脾湯単剤、あるいは加味帰脾湯+抑肝散
を処方していました。
漢方の量が多くなるため、毎食前は避け、多くても1日2回までとしていました。
すると、何名かの患者さんが
「数日で劇的に効いた」
とおっしゃったのです。
共通点に気づいた瞬間
何が違うのかと考えたとき、ある共通点に気づきました。
その方たちは全員、婦人科で加味逍遙散を処方されており、当院の漢方と併用していたのです。
つまり、
加味逍遙散+抑肝散+加味帰脾湯
という形になっていました。
引き算の検証
次からは引き算を始めました。
まず、1日2回を朝または夕食前の1回に減らしましたが、効果はしっかり維持されていました。
次に、症状が安定してきた患者さんに
「3剤のうち1剤を中止しても良いですよ」
とお伝えしました。
結果は明確で、1剤欠けると効果がはっきり半減しました。
他の組み合わせも試しましたが
加味帰脾湯の代わりに柴胡加竜骨牡蛎湯や甘麦大棗湯など、他の組み合わせも試しましたが、いずれも効果不十分という結果に終わりました。
「はるかぜ処方」として定着
当初は、
「この処方内容と回数で良いのか?」
と、近隣の薬局から疑義照会?が来ることもありました。
最近では、
「はるかぜクリニックの柳田DRがよく出す処方」
として定着しています。
打率は当初3〜4割程度でしたが、最近は6割を超えるようになりました。
加味逍遙散は女性の不調の漢方の第一番手です。当院はメンタルクリニックですので加味逍遙散が効果不十分だった患者さんばかりが来院される傾向が強いのです。加味逍遙散で抜群に効果が出る人も沢山いらっしゃいますので現在内服し始めた方は安心して内服されて下さい。
具体的な使い方や、どのようなタイプのPMSに効きやすいのかについては、また別の機会にお話しします。