抑肝散には、症状や体質に応じて使い分ける「加味方」があります。
その中でも臨床でよく使われるのが抑肝散加陳皮半夏です。
抑肝散加陳皮半夏は、「抑肝散」に
陳皮・半夏を加えた処方で、単なる消化器症状の調整にとどまらない特徴があります。
一般には
・胃もたれ
・食欲不振
・悪心
といった消化器症状の軽減目的で知られていますが、実際の臨床ではそれ以外の効果を実感する場面が少なくありません。
特に目立つのが
・顔面の緊張感
・眼瞼(まぶた)のぴくつき
といった症状への効果です。
抑肝散が「内側のイライラや興奮」を鎮める漢方だとすれば、
抑肝散加陳皮半夏は、その緊張が表情や身体に現れてしまうタイプに向いている印象があります。
実例として多いのが、
郵便局や銀行の窓口、
ホテルのフロント、グリーターなど、
常に笑顔で人と接することが求められる職種の方々です。
こうした仕事では、内心の緊張やストレスを表に出せず、
無意識のうちに顔のこわばりや、まぶたのぴくつきとして現れることがあります。
その結果、「笑顔を作るのがつらい」「表情が引きつる」といった訴えにつながります。
このようなケースでは、
抑肝散単独よりも抑肝散加陳皮半夏の方がしっくりくることが多く、
実際に「表情が楽になった」「人前に立つのが苦にならなくなった」といった反応が得られます。
抑肝散と抑肝散加陳皮半夏は、
単に「消化器症状があるかどうか」だけでなく、
緊張の出方が内向きか、外に表れているか
という視点で使い分けると、臨床で非常に使いやすい処方になります。