うつ病、適応障害、不安障害などで休職した後、やむを得ず退職を選択される方は少なくありません。
その際によく聞かれるのが、
「自己都合退職だから失業保険はあまりもらえないですよね?」
というご質問です。
実は、必ずしもそうとは限りません。
病気が理由の退職は配慮されることがあります
精神疾患などにより就労継続が困難となって退職した場合、ハローワークで離職理由や休職歴、診断書、会社が作成した離職票などを総合的に確認し、「特定理由離職者」などとして扱われることがあります。
その場合には、
- 通常より早く失業給付を受けられることがある(当ブログの失業保険の「給付制限」とは?https://harukaze-clinic.sub.jp/525/を参考にされて下さい)
- 給付日数が長くなることがある
など、一般的な自己都合退職より有利になる場合があります。
わかりやすく以下は典型的なケースとして書きます。
40代会社員のAさん。
うつ病で約8か月休職しましたが、主治医から「現職への復帰は困難」と判断され退職しました。
精神障害者保健福祉手帳は取得していませんでしたが、診断書や休職歴などをもとにハローワークで審査を受け、通常の自己都合退職より有利な条件で失業給付を受けることができました。
どのくらい違うのでしょうか?
一般的な自己都合退職では、雇用保険の加入期間などにより給付日数が90日程度となる方が多く見られます。
一方で、病気による退職として「特定理由離職者」等に認定された場合には、年齢や雇用保険の加入期間によって給付日数が長くなることがあります。
あくまで一例としてのモデル計算ですが、基本手当日額が約6,000円の方で給付日数が90日から120日に延びた場合、単純計算では約18万円多く受給できる計算になります。
当院の患者さんでも、通常より多く受給できたケースがありました。
※ 実際の受給額や給付日数は、年齢・給与・雇用保険の加入期間・離職理由など個々の状況によって大きく異なります。また、雇用保険制度は法改正により変更されることがあるため、正確な内容は必ずハローワークにご確認ください。
手帳がなくても相談してみる価値があります
「精神障害者保健福祉手帳を持っていないから対象外」と思われる方もいます。
しかし、手帳がなくても病気による退職として配慮される場合があります。
一方で、手帳をお持ちの方などは、「就職困難者」としてさらに給付日数が長くなる制度が利用できる場合もあります。
一人で判断せず、まず相談を
失業保険は「自己都合退職か会社都合退職か」だけで決まるわけではないのです。
病気の経過や休職歴、退職に至った事情などを踏まえ、一人ひとり個別に判断されます。
精神疾患で退職された方は、「自分は対象外だろう」と決めつけず、離職票や診断書を持参してハローワークへ相談してみることをおすすめします。
受けられる支援を正しく利用することも、回復への大切な一歩だと思います。
注:本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の受給可否や金額を保証するものではありません。制度の詳細や最新情報は、お近くのハローワークにご確認ください。