子どもに漢方はどう使う?
小児への安全な投与と実際の処方の考え方
「子どもに漢方を使っても大丈夫?」
小児の不調は、発熱・咳・嘔吐・便秘など急性疾患が中心で、体の予備能も高い一方で、薬への反応性は成人より敏感です。漢方は“やさしい薬”というイメージがありますが、実際にはきちんとした投与量の調整や、子ども特有の症状の見立てが重要です。
今回は 小児に漢方を投与する際の基本的な考え方、用量、よく用いられる処方 をまとめます。
小児に漢方を使うときの基本姿勢
子どもは体力がまだ安定していないため、
症状の変化が早く、漢方も効きやすいが悪化しやすくもある という特徴があります。
そのため大人以上に
証の変化に合わせてこまめに処方を調整するという姿勢が大切です。
小児は“攻めすぎない”処方選択が基本
強めの瀉下薬(大黄甘草湯・麻子仁丸)大黄は下剤作用があるため、乳幼児では下痢や脱水の原因になることがあるので投薬は慎重に行うべきです
麻黄含有の方剤(麻黄湯、小青竜湯)子供は意外と飲めますが投与量が多かったり体力がない状態で投与すると動悸、不眠、興奮が現れることもあります。
附子含有の包材(八味地黄丸、真武湯)しびれや悪心の報告があります。
一方で、消化器症状・呼吸器症状・アレルギー症状など、小児特有の疾患に適した漢方は多く、正しく使えば安全性は高いと考えられています。
漢方だから安心ではなく漢方薬も医薬品であることを意識することが大切です。
小児への投与量
小児への投与量は成人とは異なり、慎重な調整が必要です。
小児用量は次の量を標準とする
15歳未満7歳以上 … 成人用量の 2/3
7歳未満4歳以上 … 成人用量の 1/2
4歳未満2歳以上 … 成人用量の 1/3
2歳未満 ………… 成人用量の 1/4 以下
(厚生省薬務局監修『一般用漢方薬処方の手引』・ツムラ漢方ハンドブックより)
特に2歳未満は感受性が高いため、1/4以下と大きく減量します。
3ヶ月未満の乳児へは使用しない事。
小児漢方で工夫すべき点
苦味・粉薬の“飲ませ方
水に溶かすと苦味が強く感じることも
砂糖・ジュースと一緒に飲ませるのは OK
アイスクリームに混ぜるのも有効 ただし葛根湯、麻黄湯など体を温める漢方はお湯に砂糖かはちみつを入れる(はちみつは1才以下は禁止 乳児ボツリヌス症のリスクがあり注意が必要です)
無理やり飲ませると、漢方嫌いになってしまいます
下痢・発汗など症状悪化は、薬のせいか病状かを判断する
漢方による反応なのか、病状の自然経過なのか区別が重要です。
とくに 麻黄 を含む処方では発汗を促します 時に動悸・興奮が出ることがあります。
長期投与は慎重に
小児はすぐに作用が出やすい一方で、
発熱や咳などほとんどが急性期症状ですので長期連用の必要がない場合が多い ため、必ず定期的に見直します。
出しっぱなしにしない(経過を必ずみて効果が出れば終了・効果不十分でも無理に継続せず終了)
メリハリが大切です。
まとめ
小児漢方は“効きやすく・変化が早い”がゆえに慎重に使いましょう
小児は体力の変化が大きく、漢方の効果が出やすい
投与量は成人より大幅に少なくする
急性疾患でよく用いられるが、経過観察が必須
苦味対策や服薬方法も工夫
小児への漢方は「安全だから使う」ものではなく、「体質に合わせて適切に使えば非常に有効」な治療です。しかし実際には小学生低学年以下のお子様や乳幼児には西洋薬の方が飲みやすいですし、医師が細かな量の調整も可能です。剤形や味も工夫されており西洋薬治療が向いていると私は考えます。
漢方薬治療に拘らずいいとこ取りで良いと思います。
